【緊急試算】アメリカ・イラン軍事衝突で尿素+14%|ホルムズ海峡閉鎖で肥料価格はどうなる?

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この記事は2026年3月4日時点の情報をもとに執筆しています。中東情勢は刻々と変化しているため、最新の現地情報と合わせてご確認ください。

  • 春肥の発注をどうすべきか判断できず、先延ばしにしている
  • 米・イラン衝突のニュースは見ているが、自分の経営にどう影響するかわからない
  • JA全農の次の価格改定がいつ来るか不安でたまらない
  • 「日本は中東の肥料に依存していない」と聞いたが、本当にそうなのか確かめたい
  • 肥料費を下げたいが、何から手をつければいいかわからない
  • 収入保険やナラシ対策が肥料高騰にどこまで効くのか知りたい
  • 2022年のウクライナ危機と今回は何が違うのか、深刻度を正確に知りたい
  • ホルムズ海峡閉鎖が「原油の話」ではなく「肥料の話」である構造的な理由
  • 50ha畑作経営モデルで試算した窒素価格上昇の具体的な所得インパクト
  • 今週・今シーズン・来シーズンの3段階で動ける実践的な対策リスト
  • 堆肥転換を「為替ヘッジ」として捉え直す独自の経営視点

こんにちは、土壌医あさひです。2026年2月28日、起きてしまいました。私は農業の最先端に身を置いているので、この衝突が世界の肥料市場に何を意味するか、瞬時に理解しました。

同じ北海道で農業に携わる仲間として、今日この記事でお伝えすることはニュース解説ではありません。

あなたの

  • 春肥発注
  • 施肥設計
  • 中期的な経営戦略

という3つの意思決定に直結する分析です。

土壌医・農業経営アドバイザーとして300件以上の農家をサポートしてきた現場感覚と、国際一次情報源への直接アクセスを組み合わせて、日本語メディアが伝え切れていない事実をお届けしたいと思います。

目次

2026年中東危機の実態──米・イラン軍事衝突が肥料市場を直撃した

米・イスラエルによる対イラン攻撃の概要

2026年2月28日、米国とイスラエルは対イラン協調攻撃を発動しました。米側のコード名は「Epic Fury」、イスラエル側は「Roaring Lion」。イランの最高指導者ハメネイが殺害され、イランはイスラエルおよび中東の米軍基地14カ所に報復ミサイル攻撃を実施しました。トランプ大統領は「4週間程度」の作戦を示唆しており、戦況は流動的に変化しています。

ISW(戦争研究所)の特別レポートは、今回の攻撃が段階的なエスカレーションではなく、イランの核・ミサイル能力の決定的無力化を狙った「先制的大規模打撃」であると分析しています。2026年2月中旬から数週間かけて準備を積み上げてきた作戦であり、その規模と意図において2003年のイラク侵攻以来最大規模の中東軍事行動とされています。

【情報信頼度の確認】ハメネイ殺害・攻撃の事実=確認済み(複数国際メディア一致)。作戦期間「4週間」=有力な推定(トランプ発言だが戦況次第で変動)。

ホルムズ海峡「事実上の閉鎖」が肥料市場に意味すること

肥料市場にとって決定的なのは、ホルムズ海峡が事実上閉鎖されたことです。イラン革命防衛隊はVHF無線で「いかなる船舶もホルムズ海峡の通過を許可しない」と宣言し、海峡入口で3隻のタンカーが攻撃されました。NHKワールドの報道によれば、海峡通過量は70%減少しています。

ホルムズ海峡は幅わずか21マイル(約34km)の細長い水域です。ここを通過できなければ、ペルシャ湾沿岸の港から出荷された貨物は文字通り出口を失います。原油だけでなく、LNG、天然ガス、そして──これが今回の核心ですが──大量の肥料がこの海峡に依存しています。

ホルムズ海峡閉鎖が肥料市場に与える3つの衝撃──原油の裏で起きていること

衝撃①:原油の話ではなく、肥料の話だ

日本のニュースは「ホルムズ海峡=原油の20%」を繰り返すばかりです。しかし、ForbesとAlbis Newsは明確に指摘しています。「みんな原油価格を見ている。ホルムズの本当の危機は肥料だ」と。

船舶データ専門会社Kpler社の分析によれば、ホルムズ海峡を通過する肥料は月間300〜390万トンにのぼります。その内訳は尿素120〜150万トン、硫黄150〜180万トン、アンモニア・リン酸肥料が各40〜50万トンです。Argus Mediaは「国際尿素貿易の20〜50%がホルムズ経由」と報じています。世界の肥料貿易の約3分の1が、この幅21マイルの海峡に依存している──この事実を日本の主要メディアはほぼ報じていません。

肥料営業の現場にいると、こういう「全体像の歪み」がよく見えます。日本語メディアの読者は「原油が上がった→ガソリン代と電気代が高くなる」という回路しか持っていません。でも農家の皆さんには、そこに「→肥料も上がる」という第三の矢が刺さることを今すぐ理解しておいてほしいのです。

衝撃②:イラン+エジプトで世界尿素輸出の20%が消えた

CRU Groupの肥料部門責任者Chris Lawson氏はBloombergに対し、「イランとエジプトだけで世界の尿素貿易の約20%を占める」と明言しています。Argus Mediaのデータでは、中東は世界最大の尿素輸出地域で年間約2,000万トンを出荷しており、うちイランが約500万トン(約4分の1)、エジプトが約400万トン/年を担っています。

問題はイランだけにとどまりません。イスラエルは「安全保障上の理由」でKarish・Leviathanガス田の生産を停止させました。エジプトの窒素肥料工場はイスラエルからの天然ガスに依存しており、2025年6月の12日間戦争でも全エジプト尿素生産が停止した実績があります。その再現が今、始まっています。

衝撃③:石油には備蓄がある。肥料には何もない

原油には各国の戦略備蓄があります。バイパスパイプラインもあります。肥料には、どちらも存在しません。

Albis Newsの記事は的確に表現しています。「戦略的肥料備蓄は存在しない。尿素のバイパスパイプラインもない。OPECに相当する増産調整メカニズムもない」。Kpler社も「大型バルク船やVLGCの代替航路は事実上存在しない」と分析しています。原油危機と肥料危機は、緊急対応能力が根本的に異なるのです。

原油危機と肥料危機の決定的な違いは「備蓄」と「代替ルート」の有無です。石油ショックにはIEAの緊急備蓄放出という「消火器」がありますが、肥料にはその消火器が存在しません。

尿素価格が1週間で+14%急騰──攻撃後の肥料市場データを読む

主要指標の変動:攻撃前後の比較

価格データは既に激しく動いています。攻撃前(2月27日)のCME尿素先物(US Gulf 4月)は1トン440〜450ドルでしたが、攻撃直後に500ドルを突破(10〜14%上昇)しました。エジプト尿素現物(FOB)も480〜485ドルから495〜520ドルへ跳ね上がっています。Brent原油も72.87ドルから79〜82ドルへ9〜13%上昇しており、エネルギーコストと肥料コストが同時に上昇する「ダブルパンチ」の構造が完成しています。

指標攻撃前(2/27)攻撃後(3/1-2)変動幅
CME尿素先物(US Gulf 4月)$440-450/t$500/t超+10〜14%
中東尿素デリバティブ(3月)$470/t$500超/t+6%超
エジプト尿素現物(FOB)$480-485/t$495-520/t+7〜8%
Brent原油$72.87/bbl$79-82/bbl+9〜13%

StoneX VPのJosh Linville氏は攻撃前のメモで「このタイミングでの紛争は肥料市場にとって文字通り最悪」と警告していました。理由は2つ。①リン酸市場は中国の輸出規制(8月まで回復見込みなし)で既に逼迫している。②窒素市場は春の施肥シーズンに向けた出荷ピークの真っ最中である。最悪のタイミングで最悪の地政学リスクが重なった、というのが現状の正確な評価です。

2022年ウクライナ侵攻との比較と「最悪シナリオ」

過去の参考値として、2022年のウクライナ侵攻時にはアルジェリア産尿素がFOB 1,150ドル/トンまで暴騰しました。現在の価格(500ドル台)はまだその半分以下ですが、ホルムズ閉鎖が数週間以上続いた場合、同水準に接近するリスクは排除できません。

【シナリオ整理】
短期(1〜4週間):尿素+10〜20%、主に既発注分への影響は限定的。中期(1〜3ヶ月):尿素+20〜40%、JA全農の次期改定に反映。長期シナリオ(ホルムズ閉鎖3ヶ月以上):2022年水準($1,150/t)への接近リスクあり。

北海道農家への影響経路──「日本は中東に依存していない」という誤解を解く

「日本は中東に依存していない」は半分だけ正しい

農水省が3月3日の記者会見で説明した通り、日本の尿素(窒素原料)の輸入先はマレーシア約74%、中国が主要ルートであり、中東への直接依存は低い状況です。「じゃあ北海道は関係ないな」と安心するのは、グローバル需給の「玉突き効果」を無視した危険な誤解です。

インドは年間920万トンの尿素を輸入する世界最大の輸入国で、その45%を中東から調達していました。このインドが東南アジア・中国産に殺到すれば、日本のマレーシア・中国ルートと競合が激化します。サプライチェーンは「直接取引先」だけで評価してはいけません。川の上流で大量の水が抜かれれば、下流の水位も下がります。

三井物産・QatarEnergyの長期契約への影響

三井物産は2025年11月、QatarEnergyとの間で20年・年50万トンの尿素供給契約を締結しています。この長期契約は日本の肥料安定供給の切り札として期待されていましたが、ホルムズ海峡経由のルートであるため、今回の閉鎖で履行が脅かされる可能性があります。

JA全農の次期価格改定はいつ来るか

JA全農は2025年10月、2025年11月〜2026年5月の肥料供給価格を高度化成基準品で前期比4.3%値上げと発表済みです。この価格は今回の軍事衝突を一切織り込んでいません。次回改定は2026年6月以降となりますが、現在の価格急騰が続けば二段階目の値上げが来る公算は極めて高い。「今年の春肥はもう手当てしてある」という方も、来年の秋肥・春肥の問題として今から考えておく必要があります。

私のこれまでの間隔から正直に言います。6月改定の内示が来るのは早くても5月です。今動ける人と、5月まで待つ人では、手に入れられる情報量と価格交渉力が全然違います。担当営業に「今の在庫で現行価格での引き当ては何月分まで可能か」を聞くだけで、あなたのリスク管理は一段階上がります。

【試算】窒素肥料+20〜40%で北海道畑作50haの所得はいくら減るか

作物別の肥料費と窒素依存度

「価格が上がる」という定性情報だけでは経営判断はできません。50ha畑作モデルで実際に試算してみましょう。作付構成は小麦17ha・馬鈴薯12ha・大豆10ha・てん菜11haという典型的な4輪作を想定しています。

作物作付面積肥料費/10aうち窒素肥料/10a現状肥料費合計
秋まき小麦17ha13,000円7,150円221万円
馬鈴薯(原料用)12ha15,000円6,000円180万円
大豆10ha4,500円1,125円45万円
てん菜11ha16,000円6,400円176万円
合計50ha622万円

大豆は根粒菌による窒素固定があるため、窒素施肥量は1.5〜4kg/10aと、小麦の基肥4kg+追肥合計8〜10kg/10aと比べて圧倒的に少なくなります。大豆比率が高い経営ほど今回の衝撃は相対的に小さい──これは重要なポイントです。

穏健シナリオ・深刻シナリオ別の所得インパクト

窒素肥料価格が20%上昇した場合と40%上昇した場合のシナリオを試算すると、以下のようになります。北海道畑作経営の令和5年平均農業所得849万円を基準に計算しています。

シナリオ窒素肥料増加額光熱動力費増(+20%)合計インパクト所得減少率
N+20%(穏健)55万円28万円83万円9.8%
N+40%(深刻)110万円28万円138万円16.2%

深刻シナリオでは所得が849万円→711万円に減少します。これは「生活が苦しくなる」水準ではありませんが、機械更新計画や土地集約の投資判断に直接影響する水準です。特に小麦は肥料費の売上比率が最も高く(肥料費÷粗収益≒26%)、窒素価格上昇の打撃が最大になります。逆に大豆は窒素固定能力により影響が最小(肥料費÷粗収益≒10.7%)です。

【留保条件】
カリの主要供給元はカナダ(59%)で今回の直接影響圏外。リン酸は中国90%依存だが、中国の輸出規制は今回とは無関係の既存リスク。IFAの中期見通し(2025〜2029)では世界アンモニア生産能力が9%増加見込みで、構造的には供給過剰方向への「一時的ショック」という位置づけが正確ですが、「一時的」が3ヶ月なのか1年なのかで経営への影響は全く異なります。

肥料コスト削減の具体策──今週・今シーズン・来シーズン別の実践ガイド

今週中にやること(緊急対応)

ステップ1:担当業者への具体的な問い合わせ

以下の質問文をそのまま使えます。

「今回の米・イラン衝突を受けて、6月以降の肥料供給価格について社内でどのような見通しを持っていますか。特に尿素・NK化成について、現行価格での在庫引き当ては何月出荷分まで可能ですか。また、現時点で追加発注した場合のリードタイムと価格はどうなりますか」

「JA全農の次期価格改定(2026年6月〜)について、今回の中東情勢がどの程度織り込まれる見通しですか。前倒しで値上げ発表される可能性はありますか」

ステップ2:今シーズンの春肥発注を今週中に確定させる

春肥が未発注なら今週中に確定させてください。肥料価格は週単位で動いています。2025年6月のイスラエル・イラン12日間戦争では数日で尿素が100ドル/t以上動いた実績があります。「もう少し様子を見てから」という判断が最も高くつく可能性があります。

ステップ3:収入保険・ナラシ対策の補償内容の再確認

ナラシ対策の加入状況と、収入保険の基準収入に対する補填率を確認してください。肥料高騰は「コスト増」であり、収入の減少とは別のルートで所得を侵食する点に注意が必要です。収入保険はあくまで収入の減少を補填する仕組みであり、コスト増による所得圧縮には直接対応していません。

今シーズンの施肥設計を最適化する

窒素価格が上昇しているいま、土壌診断値を使った減肥の即時判断が重要です。北海道施肥ガイドの基準では、秋まき小麦の基肥は4kg/10aが標準ですが、前作の残肥や堆肥施用により2kg/10a以上の窒素供給が見込まれるほ場は2kg/10aに減肥することが可能です。この判断に必要なのは土壌の無機態窒素量(アンモニア態+硝酸態)の測定です。

堆肥1t/10a施用の場合、牛ふん堆肥のN肥効率を20%、N含有率1.5%とすれば堆肥由来N供給は3kg/10aになります。これだけで基肥の窒素を半減できる可能性があり、コスト換算で小麦1反あたり1,500〜2,000円の削減。17haなら25〜34万円の削減効果です。さらに、葉色値(SPAD値)やドローン画像のNDVIマップを活用した追肥の可変量散布で10〜20%の窒素削減が実証されています。

来シーズン以降の構造転換──堆肥と緑肥の本格導入

帯広市の環境保全型農業直接支払交付金を活用した場合のコスト試算を見てみましょう。カバークロップ(えん麦等)導入で6,000円/10a、堆肥施用(牛ふん堆肥2.5t/10a)で4,400円/10aの交付金が得られます。仮に50haのうち20haに堆肥2.5t/10aを導入した場合、交付金収入88万円+化学肥料N削減額60万円で、合計148万円/年のメリットが試算されます。これは穏健シナリオ(N+20%)の所得減少インパクト83万円を上回る金額です。

フェーズ期間目標具体策
Phase 11年目化学N肥料10%削減土壌診断全筆実施、堆肥20ha導入、追肥可変量化
Phase 22〜3年目化学N肥料25%削減緑肥ローテーション確立、バイオスティミュラント試験導入
Phase 34〜5年目化学N肥料40%削減堆肥ペレット広域流通参画、国内肥料資源利用拡大対策事業活用

土壌医が語る独自の3視点──堆肥は「為替ヘッジ」になる

視点①:「玉突き効果」でマレーシア・中国ルートも崩れる

日本の窒素原料はマレーシア・中国だから中東は関係ない──この論理はグローバル需給の玉突き効果を無視しています。インドは世界最大の尿素輸入国(年間920万トン)で、その45%を中東から調達していました。このインドが東南アジア・中国産に切り替えれば、日本のマレーシアルートが競合圧にさらされます。サプライチェーンは「直接取引先」だけでは評価できない──これが今回の最も重要な教訓です。

視点②:ホルムズが開通しても「戦争保険料」は下がらない

Oxford Economicsの分析では、ホルムズ海峡の完全閉鎖は「数日〜1週間」が現実的上限とされています。しかし見落とされているのは、閉鎖が解除されても戦争リスク保険(War Risk Premium)が元に戻らないことです。Lloyd’s Listは既に戦争リスク保険の引受停止を報告しています。2022年のウクライナ紛争では、黒海穀物回廊が「安全」とされた後も保険料の上乗せが穀物の実質価格を数%押し上げ続けました。肥料の「FOB価格」が下がっても、CIF(着港)価格が下がらないリスクがあります。

視点③:堆肥は「安い代替品」ではなく「為替ヘッジ」だ

尿素は100%ドル建てで取引されます。円安が進めば肥料は二重に高くなる(ドル建て値上がり+為替差損)。一方、堆肥は円建ての国内資源です。堆肥シフトは「安いから」ではなく「為替リスクのヘッジ」として再評価すべきです。北海道は牛ふん堆肥が全国で最も豊富な地域であり、この地政学的優位を活かさない手はありません。

「堆肥を使うのはコスト削減のため」という認識は半分しか正しくありません。堆肥を使うことは、ドル建て資材への依存を円建て国内資源に置き換えることです。これは財務リスク管理の話です。土壌改善の効果を含めると、堆肥の「本当の価値」はまだまだ過小評価されていると感じています。

まとめ:春肥の意思決定を今週中に終わらせるために

肥料営業の現場にいると痛感するのは、「様子を見る」という判断が最も高くつくということです。2022年のウクライナ危機では、1月に動いた農家と4月に動いた農家で10a当たり数千円の差がついた実績があります。

今回の状況を整理すると、短期(1〜3ヶ月)では尿素が既に10%超上昇しており、ホルムズ閉鎖が続けばさらに上昇します。春肥の手当ては早いほど有利です。中期(3〜12ヶ月)ではJA全農の6月改定が焦点で、N+20〜40%の追加コストは50ha経営で55〜110万円の所得圧縮になります。構造的には、IFA見通しで中期的に供給は緩和しますが、地政学リスクの「頻度」が上がっています(2022年ウクライナ→2025年6月イスラエル・イラン→今回)。

あなたの経営にとっての問いは「肥料が上がるかどうか」ではありません。「肥料が上がったとき、どれだけ早く動けるか」です。その準備が、この72時間で始められます。

【SwellのFAQブロック用Q&Aテキスト】

Q1. 今回の米・イラン衝突は2022年のウクライナ侵攻と比べてどちらが深刻ですか?

A. 2022年は窒素肥料の主要輸出国ロシア・ベラルーシが直撃を受けました。今回はホルムズ海峡という「輸送動脈」の閉鎖が焦点で、影響対象は窒素だけでなく硫黄・アンモニア・リン酸肥料まで及びます。また中国の輸出規制(リン酸)という別の既存リスクが重なっており、総合的な危機の「層の厚さ」では今回の方が深刻と評価しています。詳しくは「2022年肥料高騰から学ぶ」の記事も参考にしてください。


Q2. 北海道の水稲農家は畑作農家と同じように心配すべきですか?

A. 水稲経営も影響は受けます。水稲の窒素施肥量は10a当たり8〜10kg程度で、施肥コストに占める窒素肥料の割合は畑作と同等です。ただし水稲は収入保険の対象であり米価の動向にも依存するため、畑作よりも複合的な判断が必要です。水稲農家向けの詳細分析は別記事でまとめる予定ですので、ニュースレター登録でお知らせします。


Q3. JA全農の肥料価格改定は年に何回あり、次はいつですか?

A. JA全農は通常、6月と11月の年2回、肥料価格を改定しています。直近の改定(2025年10月発表)では2025年11月〜2026年5月向けに高度化成基準品で前期比4.3%の値上げが適用されています。今回の中東情勢を織り込んだ次回改定は2026年5月頃に発表、6月以降の適用になる見込みです。今すぐ担当営業へ問い合わせることをお勧めします。


Q4. 春肥はもう発注済みです。今から何をすれば損失を最小化できますか?

A. 春肥が確保済みであれば、次の優先事項は秋肥・来年春肥の早期確保と、今シーズンの施肥量の最適化です。土壌診断を実施して無機態窒素量を確認し、追肥を減らせるほ場を特定することが最も即効性の高い対策です。SPAD値やNDVIマップを使った追肥の「見える化」は今シーズンから着手できます。「土壌診断結果の正しい読み方」の記事もご覧ください。


Q5. 堆肥への切り替えを検討したいが、コストと手間はどのくらいかかりますか?

A. 牛ふん堆肥2.5t/10a施用の場合、北海道では無料〜2,000円/t程度で入手できるケースが多く、散布の機械コストが主な費用です。帯広市の環境保全型農業直接支払交付金(4,400円/10a)を活用すれば初期コストをほぼゼロにできます。ただし散布の労力と土壌pHへの影響には注意が必要で、初年度は試験的に20ha程度から始めることをお勧めします。


Q6. 大豆は窒素固定があるから影響が少ないと聞きましたが、本当ですか?

A. 半分正解です。大豆の窒素施肥量は1.5〜4kg/10aと小麦の4分の1以下で、窒素肥料費への影響は最小です。しかし大豆はリン酸・カリへの依存が相対的に高く、中国のリン酸輸出規制の影響を受けやすい面があります。大豆比率を上げることは「窒素リスクヘッジ」として有効ですが、連作障害(大豆シストセンチュウ)を防ぐ4年輪作の厳守が前提条件です。


Q7. 肥料価格の見通しはいつ頃に落ち着きますか?

A. IFAの中期見通し(2025〜2029年)では世界のアンモニア生産能力が2024年比9%増加する見込みで、構造的には供給過剰方向に向かっています。ただし今回の地政学リスクは「いつ解消されるか不確実」であり、戦争保険料の上昇は紛争終結後も数ヶ月続く可能性があります。保守的に見て、2026年中は高止まりが続き、2027年以降の緩和を期待するシナリオが現実的です。

Podcast(音声)で詳しく聞きたい方へ

この記事のもとになったPodcastエピソードでは、より実践的な事例や、メーカー担当者から聞いた裏話も語っています。通勤中やトラクター作業中に聞きたい方は、Podcast『土壌医あさひのオモテじゃ語れない農業トーク』もぜひチェックしてください。

この番組は、いわば「ラジオの中の勉強会」。北海道で頑張るあなたと同じ仲間たちの悩みや成功事例を共有しながら、明日からの農業がもっと面白くなるヒントを配信しています。

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あさひ

私も日々、自己研鑽しています。一緒に農業経営の勝ち筋を考えていきましょう!!

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